真面目な選手ほど怪我をする

卒業の季節がやってきました。

去年まで3年間住んだ新潟の選手たちも卒業です。

その中でも印象深い選手のことを綴りたいと思います。

小学4年生の時に初めて会った彼女は真面目で何事にも一生懸命で才能溢れる選手でしたで話を聞く時の目力がとても印象的で、、、裏を返せば過緊張でした。

ある日、肩を痛め泳げないとコーチから相談を受け個別に対応させていただくことになったのが2年前です。

頭が前方に変位しバタフライを泳ぐ時に肩が入りすぎる、少し跳ね上げるタイプの、「肩」で泳ぐのがクセでした。

年齢にしては筋力もありスピードのある選手だったが故に対応しきれず肩に障害が起きたのです。

まずは写真のように頭が前方に変位し肩が前に巻いていることを自覚してもらい、ストリームラインでどれだけ抵抗を受けているかを見てもらいました。

(全部の写真の向きバラバラですみません。。。)

・マーメイド
・呼吸エクササイズ(呼気がものすごく苦手)
・デッドバグ

の10分エクササイズを毎日の課題とし、日常では授業中口を開けて話を聞かない(笑)、と目を見開かないでねとだけ伝えた1週間後が下の写真です。

小学生の修正力はすごい。

更に

・アームスイープ
・股関節前面のモビリティドリル
・ショルダーパッキングドリル

上記3つを追加して、目を柔らかくすることを約束して1週間。

 


痛みははじめの1週間で消失し通常練習に戻りました。

マッサージはせず、肩も触らず自力で治しました。

そんな彼女ももう小学校卒業です。

昨年は勝ったプレッシャーからレースで泳げずコース台に立てなかったり途中棄権した時期が数ヶ月続きました。

でもコーチや本人の努力の甲斐あり、数ヶ月振りに50を泳ぎ切りました。

そしてその半年後、先々週小学校最後のJOをかけたチャレンジレースまでカムバックし残念ながらあと0.1秒でしたが将来に繋がるレースをしました。

数か月振りに50を泳ぎ切った報告を受けた時とチャレンジレースの結果を見たときに感動で涙を必死にこらえたことは本人には内緒です。笑

小学生、社会人選手関係なくそもそも何が痛みを起こしているのかを見極め、本人が自覚し自分で治そうとする姿勢とそれをトレーナーやパフォーマンスコーチが選手に伝えることが大事だとひしひしと感じます。

中学生になっても活躍する姿、楽しみにしています!!

背泳ぎと首の位置

先日、高校の先生と話していたら背泳ぎの首の位置の話になりました。

疲れてくると首がぐらぐらしてきて顎が上がってくるらしいです。

そうすることでローリングできなくなり、無理に深いところでキャッチし身体が横に傾くので”首の位置を安定させるエクササイズ”を導入してほしいというお話でした。

特に近年スマホの影響なのかはたまた勉強のしすぎか?姿勢が悪いというよりも口がポカーンと空いて、顎が前に出て、首の位置がおかしい選手が多いです。
こんな感じです。

 

ちなみに主訴は右肩が痛いでした。(背泳ぎの選手とは関係ありません)

 

beforeの動き

IMG_0585

 

 

しかもこんなに頸椎に負担がかかります。

頭大きい人だとより負担がかかるのでは・・・


http://www.shisei-kaizen.com/text.html

肩の痛みもほとんどの割合で首(頸椎)の過伸展とその位置でのロックが原因の選手が多いです。

少し手を加えさせてもらい、選手には課題のエクササイズを・・・

 

肩がまだ無理な位置にありますが、本人曰く泳ぎやすいとのことです。

念のためですが、首のトレーニングといったら昔ながらのラグビーやアメフト、レスリングのような首でブリッジしたり・・・

というトレーニングはさすがにしません(笑)

首を後ろに傾けたときにグニャンと曲がる選手にストレッチしたところで悪化するので頸椎を正しい位置に収めてあげるエクササイズをします。

運動学習なのですぐに効果が出ますがその他長時間を悪い姿勢でキープされると頭は重いのですぐに元通りになってしまいます。

かといって頸椎のエクササイズは感覚が難しいので育成年代の選手には予防策として前転をよく取り入れています。

 

IMG_0442 (1)

やってみるとわかるのですが、まず口を空けたまま前転できません。

そして顎をしまわないと頭頂部と頸椎がもろにダメージを受けます。

加えて舌を上顎に押し付けて後頭部を床につけようとするため頸椎が前方に屈曲します。

ただの前転ですがこんな狙いがあって行っています。

ジャンプしているのは・・・また色々理由があるので次に置いておきます。

背泳ぎで首の位置を安定させるエクササイズの続きを知りたい選手・コーチはコチラまで!

yui.athletictrainer@gmail.com

アイスバスについて

今回、インカレにてコーチがアイスバスを用意してくださいました。

9月の中旬ですがまだうだるような暑さは続き、トレーナーブースには直射日光が熱を運び、ケアを受ける選手も大変でした。

プールサイドも暑く、普段立つことに慣れていない競泳の選手にとって立ったまま応援し、仲間に大声で声援を送ることはとても身体に応えたようです。

複数レースをこなす選手からよく相談されるケースは、レースが終わった後の夜、疲れているのに体が火照って寝れない、または起きてしまうということです。

それにも関わらずお風呂に入ったら疲れがとれると思い、身体がだるい中一生懸命お風呂に浸かる選手が多いようです。

アイスバスやクライオセラピー、交代浴は様々な文献が出ており、明確な結論が出ていません。

私は日本スポーツ協会(旧日本体育協会)の教育を受けたためそれを基に考えがありましたが、さまざまなスポーツ、国、トレーナーによって考えも研究結果も違い一概になにがいいかと明確な情報がでていないのが現状です。

アイスバスの効果としては賛否両論ありますが

Constrict blood vessels and flush waste products, like lactic acid, afected tissues.

血管を圧迫し、細胞に影響を与える乳酸等の疲労物質を除去する

Decrease metabolic activity and slow down physiological processes.

代謝活動を低減させ生理学的な働きのスピードを遅らせる。

・Reduce swelling and tissue breakdown

むくみを減らし組織の機能を停止させる

その後一気に血管が拡大し、血流スピードが増大しすることで筋や筋膜、その他組織の微小外傷の治癒にも効果的だとされています。(いわゆる筋肉痛や腫れ、熱感等)

恐らくアイスセラピーが多くの研究で敬遠されている理由の一つとして、いわゆる筋トレの後は筋力や筋肥大の効果が減少するとされているためではないでしょうか。

参考: Sports Medicine・『After Exercise – Does an Ice Water Bath Speed Recovery?』

選手の感覚としてはけだるい、重だるい身体の熱を抑えて身体の感覚が復活する、といったところでしょうか。

時間や入り方としては様々な意見や論文があるため本当に参考程度ですが、一基準として12-15℃に5-10分程度が有効と考えています。

下半身だけの浸水が推奨されていますが、私は水泳などの上半身を主に使うスポーツでは上肢の浸水も効果的だと考えます。

更に、ダウンをしても火照りや興奮が収まらない選手に至っては全身をざぶんと浸けるのもリフレッシュの観点で効果的と考えます。

本当は交代浴ができればいいのですが湯を供給できる場所がなかったため今回はあるもので対処です。

時間は短く1分未満ですが、使った選手は必ずすっきりした顔になり控え場所に帰っていきます。

ちなみに今回一番アイスバスの恩恵を受けたのは紛れもなく私自身です。(笑)

レース初日に気合を入れすぎ?体に熱が籠り体調万全とならなかったため翌日からケアの様子をみて必ず1時間に1回四肢をアイスバスに突っ込みしのぎました。

結果としては予想をはるかに超えてむちゃくちゃ身体が楽でした!

最終的にはほぼ頭から冷水をかぶっていたぐらいですが、ほかの学校からは熱中症も出ていたみたいなのでこの時期の試合は必要に応じて準備することが重要だと思われます。

競泳は水に浸かっているため、大丈夫だろうと考えがちですが、慣れない合宿や屋外の試合では今後異常気象に伴い環境を整えることも代表合宿や遠征以外に帯同する競泳トレーナーにとっても重要な役割のひとつになりつつあると思います。

 

 

 

スイマーの肩についてPart2

少し前の投稿になってしまいましたが、いわゆる肩関節だけの柔軟性を

向上させる”肩回旋”だけをおこなうのは果たしていいのか?という投稿について

今回お話したいと思います。

つい最近SNSでも男子背泳ぎの選手の肩関節が異常に柔らかくて、

もはやホラーだという投稿が話題になっていました。

 

あの肩関節の柔らかさは柔軟性ではなく「弛緩性」で、「ゆるい」というカテゴリーになります。

結論からいうと、肩関節だけでなく同じ割合で胸椎・胸郭の「可動性」を向上させなければなりません。

背泳ぎを例にあげてみると、日本のトップレベルの選手はレース前に

「右の入水をした時に左の骨盤がグッと浮き上がる感じがもう少し欲しい」

という表現をよく使います。

背泳ぎが苦手だった私にはそんな感覚一度もないまま水泳人生を終えいまだにわかりませんが(笑)

この表現でよくわかるように、肩関節の柔らかさだけでは身体が連動して動かないということです。

指先ー肩関節(肩甲上腕関節)ー胸郭ー胸椎ー逆測の骨盤ー股関節ー大腿部ーつま先=しなやかなストローク

このように一か所だけが突出して柔らかい(緩い)とうまく身体が連動せず、どこかに負担がかかりやすいくなります。

それが「肩の前が痛い」という結果として起こることが競泳では非常に多いです。

前置きが長くなりましたが、胸椎・胸郭のモビリティ(可動域)のエクササイズで必ず取り入れている種目がFMS™のコレクティブエクササイズにもある”ブレッツェル”です。

足裏を壁に固定して行うのですが、人数が多いため壁確保ならず・・・

 

これは4パターン中最後の4つ目なのですが、腰ではなく胸椎・胸郭にダイレクトに回旋がかけれます。

ストレッチ要素だけでなく、肋骨の動きに制限がかかっているため呼吸を利用して吸気時に肋骨を横に広げ、吐き切った時に肋骨をしまう(閉じる)”横隔膜呼吸”のトレーニングをすることが狙いです。

 

これと似たエクササイズでうつ伏せになって脚をクロスさせてひねるストレッチがありますが、注意深くしないと大抵の選手が腰椎から捻ってしまうため腰を過伸展し腰痛を発症してしまう傾向がみられます。

このエクササイズを5呼吸ほど行ったあとは回旋がしやすく、呼吸も楽にできます。

肩関節が元々硬い選手でもその分別の部位が補っていれば”異常な”肩関節の弛緩性は必要ないはずです。

ぜひお試しください!

 

競泳のトレーナーをお探しのかたはコチラまでご連絡ください!

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スイマーの肩についてPart1

「胸椎・胸郭が硬いんですけど、どういうエクササイズをすればいいですか?」

という質問はコーチだけでなく選手からもよくでます。

選手からこういった質問が出ること自体、水泳界のトレーナーさんたちが築いてきたベースはすごいなぁと改めて感じます。

下の動画はいわゆる”肩回旋”です。

すごーいと感じますが?

やばーいと感じますか?

これをみると一見、肩が柔らかくていい選手だなぁ、ということを感じるコーチもいるのではないでしょうか。

しかし私はこの見た目の柔軟性がスイマーズショルダーやトップレベルになると肘の痛みを起こす一因になると考えます。

特に小学生のころ肩の柔らかさで泳いでいる選手は身体が大きくなるに伴い、肩関節の痛みやコアと上半身の連動性が乏しくなる傾向が多く見られます。

“肩関節の弛緩性と胸椎・胸郭の可動性”は全く別物です。

そして

“肩甲骨がしっかりとスタビリティ(安定している)している”うえで肩関節が動くことが大事です。

これを踏まえてエクササイズを行うことが大切ですね。

今後、どういったエクササイズを取り入れているかご紹介していきたいと思います。

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“今日は”ブレのキックがかからない!

平泳ぎは一番調整が難しい種目だと思っています。

昨日キックがひっかっかって絶好調だったのに”今日は”ひっかかりが悪い!なぜだ!みたいな選手、結構いますよね。

股関節の動きが悪いのか・・引き付ければ引き付けるほど腰が沈む・・・

どうにかしてください・・・こういった質問をよく受けます。

理由はたくさん考えられますが、①そもそも股関節の動きが悪いのか②股関節を支えるコア(土台)が安定していないのかまずはどちらなのかを評価する必要があります。

下の動画は春季JOに出場した中学2年生身体の成長が著しい平泳ぎの選手です。

FMS™のASLRという種目で評価してみました。

IMG_9906

・・・?!挙がらない!

ちなみに他動のSLRは75度、立位での前屈は手が床につきます。

痛みがあるのでファイナルスコアは完全な0点です。

本人曰く、「股関節がひっかかる感じがして少し痛いし、これ以上挙げると攣りそう。」

重心移動は得意ですが、スイムになった途端になんせキックがかからない。。。

といことで、別日に個別セッションを15分しました。

呼吸を5分、モビリティを5分、スタビリティを5分(コアアクティベーションをたっぷりと)。

その結果・・・

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痛みなく、スムーズな股関節の動きを獲得することができました。

ファイナルスコアは文句なし3点です。

その後も練習前にエクササイズ10分を継続してもらい、キックがかかりやすくなったため、腰の落ち方も改善されたとのことです。

週末の試合では200mで3秒ベストが出たと嬉しい報告もいただきました。

いつもと同じエクササイズをする前に、なにが原因でキックがかからないか確認することも大事ですね。

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