競泳選手のリズム感

スイマーはリズム感がない、バランス感覚が悪いとよく言われますが、その理由はズバリ「やったことがない」からです。

水中で重力を受けない競技だからといってリズム感やバランス感覚がなくてもいい、という理由はありません。

トップスイマーの中には抜群にリズム感や空間認知能力がいい選手もたくさんいますし(社会人女子選手ですがどの種目もトップレベルで泳げます。)、やはり強い要因の1つになっているのは確かです。

リズム感と一言で言っても手と足の位置感覚やスピードの強弱に対応する能力も同時に必要です。

この陸上で培ったスキル(引き出し)は水中でのテクニックの向上に自然とつながりますし、よりテクニック習得の時間短縮につながります。

さて、↓小学生チームのトレーニングの様子です。

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手をつく瞬間に肩周囲を安定させることと脚をついた瞬間に地面をプッシュすることで一定のリズムが生まれ、体幹の安定性も同時に出てきます。

面白いことに低年齢になればなるほどこういった種目と水中でのレベルが比例しています。

高校生以上になると比例しませんが、競技レベルはそこそこでもスピードの出し方がわからない選手が多いです。

ただし年代があがっても改善可能です。

小学生には小学生のうちに伸ばすべきエクササイズをしましょう!

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真面目な選手ほど怪我をする

卒業の季節がやってきました。

去年まで3年間住んだ新潟の選手たちも卒業です。

その中でも印象深い選手のことを綴りたいと思います。

小学4年生の時に初めて会った彼女は真面目で何事にも一生懸命で才能溢れる選手でしたで話を聞く時の目力がとても印象的で、、、裏を返せば過緊張でした。

ある日、肩を痛め泳げないとコーチから相談を受け個別に対応させていただくことになったのが2年前です。

頭が前方に変位しバタフライを泳ぐ時に肩が入りすぎる、少し跳ね上げるタイプの、「肩」で泳ぐのがクセでした。

年齢にしては筋力もありスピードのある選手だったが故に対応しきれず肩に障害が起きたのです。

まずは写真のように頭が前方に変位し肩が前に巻いていることを自覚してもらい、ストリームラインでどれだけ抵抗を受けているかを見てもらいました。

(全部の写真の向きバラバラですみません。。。)

・マーメイド
・呼吸エクササイズ(呼気がものすごく苦手)
・デッドバグ

の10分エクササイズを毎日の課題とし、日常では授業中口を開けて話を聞かない(笑)、と目を見開かないでねとだけ伝えた1週間後が下の写真です。

小学生の修正力はすごい。

更に

・アームスイープ
・股関節前面のモビリティドリル
・ショルダーパッキングドリル

上記3つを追加して、目を柔らかくすることを約束して1週間。

 


痛みははじめの1週間で消失し通常練習に戻りました。

マッサージはせず、肩も触らず自力で治しました。

そんな彼女ももう小学校卒業です。

昨年は勝ったプレッシャーからレースで泳げずコース台に立てなかったり途中棄権した時期が数ヶ月続きました。

でもコーチや本人の努力の甲斐あり、数ヶ月振りに50を泳ぎ切りました。

そしてその半年後、先々週小学校最後のJOをかけたチャレンジレースまでカムバックし残念ながらあと0.1秒でしたが将来に繋がるレースをしました。

数か月振りに50を泳ぎ切った報告を受けた時とチャレンジレースの結果を見たときに感動で涙を必死にこらえたことは本人には内緒です。笑

小学生、社会人選手関係なくそもそも何が痛みを起こしているのかを見極め、本人が自覚し自分で治そうとする姿勢とそれをトレーナーやパフォーマンスコーチが選手に伝えることが大事だとひしひしと感じます。

中学生になっても活躍する姿、楽しみにしています!!

アップキックの感覚とウォーミングアップ

競泳のチーム指導をしていてよく目にするのが過剰な可動域がでている選手と異常な可動域制限が出ている選手が極端であることです。

わかりやすく例を挙げると他動のSLRで”伸びる感覚がほとんどない”、もしくは”80度上がらない”のどちらかということです。

ハムストリングに関わらず他の関節でもそうですが首、膝や肘の過伸展(サル手のような現象)が出やすい競技が故に育成年代では柔軟性や可動性で泳げていたのに成長するにつれ”水を捉える、押さえつける”ことのないどこで進んでるのかわからない泳ぎたいになったり、またスタートで台をプッシュできないという問題を抱えた選手をよく目にします。

そこで選手のウォーミングアップには普段選手が使えていない感覚を入力するエクササイズを導入することが多くあります。

今回普段から指導させていただいている太成高校さんより「レース当日の汗が出て身体がすぐ動くアップ」というお題が出たので初チャレンジしてもらいました。

これはムーブメントで教わったトレーニングでバックペダルという種目です。

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そもそも前向きのスキップも危うい選手が多いため(笑)チャレンジングな種目ですが、普段踵でヒールコンタクトをしないペンギン歩きの選手にとってとても良い感覚刺激を得ることができます。

カッティングもターンもディフェンスもオフェンスもない競技ですが地面をプッシュするという行為がやがてスクワットやデッドリフト、クリーン、スナッチに繋がります。

リズム感も大事になるので練習前にはもってこいのエクササイズですね。

プルの入水角度が違う?

今日はプルの入水角度についてお話します。

特にバックとフリーの選手で体軸が崩れてしまいキックの幅が大きく振れてしまうのを防ぐためのエクササイズを紹介します。

左右差があること自体そこまで気にしませんが、過度な水の抵抗や身体の痛み、スイムのブレーキになるような左右の差は取り除く方が効率的に泳げます。

動画の選手は右手と左手の入水角度が違うことをコーチやチームメイトに指摘されることが多いそうですが、自分ではその感覚があまりわからないという問題を抱えていました。

フォームの崩れもレース後半に顕著になります。

さて、左手の入水問題は三半規管に始まり左の視覚視野~という風にさかのぼりますが本人に自覚してほしいのでまずはハーフニーリング(片膝立ち)のインライン(直線上)アーチェリーでどれだけ左右差が現れるかチェックです。

下動画はうまくできない初めのセットです。
末端に過度の緊張がありすぐ体制を崩してしまいます。


身体が流れないよう股関節がはまった感覚を得るエクササイズを挟み、それと同時にスムースに身体が動き始めました。まだ足趾が噛んで緊張していますが。

 

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ちなみにインライン+股関節内旋(ほんの気持ち内股。股関節内側に紙を挟んだら落ちないという意識)で水泳のキック動作に近づけています。

競泳だからこそ一辺倒の”体幹トレーニング”に偏らず様々なポジションでのエクササイズに挑戦することが必要ですね。

ローリングと止める感覚

調子が悪いときや疲労している時、立体感(三面の動き)が出ず縦の動きしかでないため腕で一生懸命引っ張る、もしくはキック頼みのフォームになる選手がよくみられます。

こういう時の解消法として力みを出さず素早いローリングの動作を出すエクササイズが有効です。

ただし、ローリングも無理やり出してしまうと抵抗の大きな泳ぎになってしまい、キックが水に対して垂直に入らなくなるリスクがあります。

そのためローリングの動きも出しつつ”止める”動きの習得もしましょう。

ローリングで動きを出して(このローリングは抜群に上手くて芸術的。笑)

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いくつかのエクササイズを挟み

クオータージャンプ(もう少しスピードが欲しいですね。笑)

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動きを出すところとスピードを出しながら止める、これが重要です。

ボックスに乗った時の脚の向きやジャンプの時の力の抜け方も大事です。

身体が動かないときこそマッサージやストレッチにこだわらず、本来持ち合わせている動きを引き出してあげる、そんな選手が増えるといいな、と思います。

タイムが行き詰っている、身体が思い通りに動かない等の悩みがある、本当にこのトレーニングでいいのかと疑問を持っている選手、もしくは指導者の方はいちどご相談ください。

ジュニアからマスターズまで指導させていただきます。

キックで”股関節が詰まる”

昨日居残りした400mFRの選手から受けた相談です。

ASLR(仰向け脚挙上テスト)と呼吸のテストをしてもらいました。

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ASLRをすると股関節が詰まって腿前が攣りそうになるらしいです。

泳ぐときも股関節の内、腿前が詰まった感じがしてキックが入らないのでプルで”引っ張る”フォームのため50、100のスピードが出ないのも問題です。

ということで、、

出力を上げるため股関節センタリング(股関節のネジをいい位置に戻す)のコアアクティベーションエクササイズを1つと脚が挙がると反射的に胸椎を反ろうとするので首周りと上半身の緊張を落とす呼吸のエクササイズ1つをしました。

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主観的にも客観的にも詰まりがだいぶ取れて動きがスムーズです。

これで次のレースベスト出るかな?笑

ストレッチも大事ですが今回の詰まりの1番の原因は柔軟性の欠如ではないので原因の部位(股関節詰まるから股関節のストレッチやマッサージしよう!)ではなく原因の動きを評価することもより大事ですね。

十数年振りの、、

昨日はここにお邪魔しました。

高校生の時のJSSチャンピオンシップ以来です。

今回は回旋動作を始め、三半規管や空間認知能力に介入し、動きの引き出しを増やすトレーニングがメインになりそうです。

それ以外にもアッパークロスのため後半になると身体の上下動が激しくなります。

背泳ぎの選手は難しい、、というか背泳ぎの感覚がわからないのでなんとか選手の泳ぎをマネしてエラー見つけながらトレーニングを考える日々です。(仕事に支障が出ない範囲で。笑)

愛媛県合宿とピーティーの脇

昨年末になりますが愛媛県合宿に行ってきました。

(やらせではないです。多分。)

中学生~高校生をメインに大学生、上は31歳の現役バリバリ選手までドライランド指導をさせていただきました。

今回担当コーチからはフリーのプッシュからリカバリーにかけて”はね上げ”をする選手が多いので身体全体を使って泳げるようにしてほしいという要望があったのでそれをメインに行いました。

ジュニアの頃から腕を回しまくってる競技のため肩(肩甲上腕関節)関節を動かすことに優れている選手が多く、身体の中心から動かす感覚の引き出しを持ち合わせていないことがよく見られます。

この場合起こり得る問題が大きく2つ。

①肩関節で無理やり水を捉えるため肩前方に痛みが出る

②キャッチの時に肩関節を”入れすぎる”ため肩甲骨が滑って水を捉えれない

キャッチができない選手でわかりやすいのが”四つ這い”姿勢です。


競泳選手の場合、四つ這いにした途端、肩甲骨が浮き出るもしくは寄る、そして頭が下がる、もしくは首がガクンと落ちる。

この姿勢は水中のフォームに直結することが多いです。

肩関節の柔軟性(弛緩性)だけを出し、肩甲骨を寄せたり動かすことにフォーカスを当てすぎた選手に多く見られ力強いプルを生み出すことが難しくなります。

“肩甲骨周囲”の筋がしなやかな動きをつくるためストレッチをすることはとても重要ですが、”泳ぎの中で肩甲骨を寄せて泳ぐ種目はない”ため安定させることもより重要です。

例を挙げるとアダムピーティーのキャッチ時の水中映像がわかりやすいですが、肩甲骨(肩甲胸郭関節)はガッチリ安定していてまるで巨大なショベル(シャベル?)で水をかき集めすくっているようです。

(引用:https://instagrammernews.com/detail/1580362160733837012)

脇の下の巨大ポケットがあるようにも見えます。

まずはこれをつくるプレエクササイズです。

DNSでいう”12ヶ月のポーズ”、アニマルフローでいう”ベアポジション”である四つ這い+膝を浮かすポジションをペアでチェックしました。

(これはちなみに選手じゃなくまさかの先生ですね)

・手で床をプッシュできてるか?
・肩甲骨を寄せずに安定できている?”ショルダーパッキング”
・顎ひけてる?→これができない選手はレース後半で頭が揺れて下半身下がってきます
・頭頂部から尾てい骨まで一直線?
・お腹が凹まず横にしっかり広がってる?

これができたらそのままのフォームで片手を床から離してみましょう。もちろん軸は動かさずにです。

(ちょっとサル手になっていますがNGですのみなさんは注意してください!)

シンプルな動きですがエラーが出る選手はまだプル動作に改善できる余裕があります。

国体ではお世話になっている愛媛県ですが、合宿自体は初めてでスタッフの方々にとてもお世話になりました。

先生やコーチたちもドライランドに参加してくださり、(選手より真剣でなぜか翌日筋肉痛に苦しんでいました)とてもいい環境で過ごすことができました。

また社会人選手が引っ張って行く姿には感動すらありました。

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アシスタントしてくれた美紀や侑平にも感謝です。

大先輩方には極寒の中、震えながら大きいカレー皿に盛られた巨大なかき氷までご馳走になり愛媛県のスタッフの方には感謝しかありません。(次は夏場にご馳走になりたいものですね。)

愛媛県の選手や四国の選手、中京大の選手の今シーズンの活躍が楽しみです!

JSS南大阪合宿

年末、JSS南大阪合宿に呼んでいただき下は小学5年生から高校3年生+大学生の指導をさせていただきました。

コーチからの要望で短時間で身体が動くウォーミングアップとジュニアでもできるnon-weightのスピードトレーニングを行いました。

水中練習前のアップは特に小学生・中学生(高校生も)ジュニア世代だと集中力の持続時間の観点と水中前に時間が取れないという問題があるためできるだけ短時間でどれだけ身体が動くかをテーマに行います。

そのため動きながらストレッチ要素やキューイング(指示出し)でコアアクティベーション(体幹の活性化)になるような種目をほんの3~5種目やって汗をかく、これで水中の動き出しの時間を短縮させます。

“W-up 400*1 SKPSにつなげるアップ”です。

↓写真はスパイダーストレッチ(ワールドグレイテストストレッチ)の一部です

股関節周囲のストレッチ及びコアアクティベーション、胸椎・胸郭の回旋(ローリングにつながる)が含まれた超優秀なアップ種目です。

床をいかにプッシュし肩甲骨周囲が安定できているかが重要な種目です。(競泳選手はどうしてもサル手になるか肩を入れてしまうのです・・・)

選手たちは初めて行う種目で最初あたふたしていましたが、1時間後にはなんとか形になり楽しい時間をすごさせていただきました。

選手のセッションが終わったあとにコーチたちと補習授業(自主練?笑)をしたのですがそれがまた楽しく有意義な時間でした。

 

印象的だったのは

 

「意味がわかりだすと楽しくなってきた」

 

の一言でした。

 

種目ややり方を教えるのではなく、それをやる意味やなぜその種目をするのかを考えながら一緒に行う。

選手のトレーニングやセッションも必要だけれどそれ以上に現場に毎日いけない私の代わりに指導者の方がポイントを押さえて指導してくださり、それがやがて選手主導のセッションに変わっていく、これが私の目標です。

2019年は引き続き様々な場所で競泳のドライランド、ストレングスの普及活動をしていきますが、指導者向けの講習も行っていきたいなと考えています。

情報があふれているこの世の中だからこそネットの真似事ではなく現場で直接の指導に当たることが重要だと考えています。

 

問い合わせはメールにてお願い致します。

小学生も同じメニュー?

小学生向けのトレーニングについて以前も書きましたが、指導者のみなさんはどのようなエクササイズを選択していますか?

子供は大人のミニチュアではないとよく言われるように、今だからこそできることを多く取り入れるのが将来に役立つと感じます。

種目の選択を間違うと、逆効果になるものや本来の狙いと異なることをしてしまうことになり兼ねません。

小学生のうちは「できる」「できない」がはっきりとした種目を選択するのも一つのアイデアだと思います。

大人と違い全力で「できた!」を目指してくれるので少し複雑な動きもたくさん取り入れます。
(人それぞれですが中学生ぐらいになると集団の中で自分だけができないことが恥ずかしいという感情がでてきてしまうので小学生のうちに引き出しをたくさん作った方がいいのかな、と感じます)

動画は小学2年~6年生チームの動作トレーニングの風景です。

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このようなベーシックももちろん取り入れますが、競泳は連続性の競技のためできるだけ後向きや非利き手等、いつもと違う環境を作り、動きの引き出しを増やして感覚を養うよう工夫しています。

また、競泳は基本的に体幹の屈曲(身体を丸める)動作がほとんどないため水中で身体を反る姿勢になってしまう傾向が多くみられます。

そのため胸郭が広がり息を吐く動作が苦手な選手が多く首回りや肩回りが緊張しやすくなります。

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上の動画は今年のチャレンジ種目で、狙いは背骨を一つ一つ動かす感覚を掴み、ZOAの獲得、頸椎のニュートラル、、、
とまあ、こんなことを小学生に言ってもわからないので(笑)

「ゆーっくりニョローっと優しく」
「ダンゴムシみたいに丸ーくなって」

擬人・擬音キューイングで対処です。

小学生だからやらなくてもいいということはなく、小学生だからことやった方がいいトレーニングはたくさんあります。

冬休みの2部練の間に取り入れてみてはどうでしょうか?